前回まではFEH入門編のようなことを話してきましたが、今回からはもう少し踏み込んだ内容について書いていきたいと思います。
今回は現在話題の「闇堕ち英雄」について書きたいと思います。
尚、当記事で扱っている「現在」は、当記事執筆時点(2021/5/9)のものとします。
闇堕ち英雄とは
「闇堕ち英雄」とは、恒常英雄や大英雄のうち、FE原作でも何らかの理由で洗脳、暴走、悪の眷属となったキャラクター達のことを指します。
毎年5月の各部ストーリー中盤に差し掛かるときに登場します。闇堕ち英雄も恒常英雄なので、普通にすり抜けで出て来る場合もあります。
注意すべきなのは「闇堕ち英雄」は公式の言葉ではなく、人によっては「闇(英雄)」、「悪堕ち(英雄)」などとも言われたりします。
尚、闇堕ち英雄は一部を除いてFE原作終盤に登場するため、原作の壮大なネタバレを食らいます。なので、ここから先の闇堕ち英雄の紹介でも原作のネタバレを含みますが、閲覧は自己責任でお願いします。
闇堕ち英雄一覧
これまでに実装された闇堕ち英雄は以下のとおりです。原作で彼らを闇堕ちさせた人間は敬称を略します。
参考までにFEサイファでも収録された闇堕ちバージョンのカードも併せて紹介します。
第2部から登場
闇堕ち英雄が初めて登場したのは今から3年前となる第2部です。第1部では闇堕ち英雄は実装されていません。
捕らわれし魂 セリカ
(左:FEH、右:サイファ)
FEエコーズ終盤で、魔女化したセリカ君です。アルム君とミラ様を助けるためジュダに嵌められ、ドーマ神の贄で魔女化してしまいます。ファルシオンを手に入れようとしているアルム君に襲い掛かりますが、最終的にファルシオンの力でドーマ神の呪いが解け、アルム君と共にドーマ神を止めに行きます。
サイファでもFEHでの登場より後に収録されており、FEHと同じく剣を使います。原作でも魔女化したセリカ君がアルム君に襲い掛かるムービーでは剣だったので、それを踏襲していると考えられます。
暗黒皇帝 ハーディン
(左:FEH、右:サイファ)
FE紋章で、闇のオーブの力によって暗黒皇帝と化してしまったハーディン殿です。暗黒戦争終結後にニーナ姫と結婚しますが、姫の心が自分にないことを知るや失望し、そこをガーネフに付け込まれて闇のオーブを持たされ暗黒皇帝となってしまいます。マルス様に討たれ絶命寸前に闇のオーブの洗脳が解け、マルス様とニーナ姫に謝罪の言葉を口にして果てます。
FEHでレベル40にすると元の人格が一瞬出て来るので、興味がある人はハーディン殿を仲間にしてみると良いでしょう。尚、現時点のFEHでは元の人格のハーディン殿は実装されていません。
サイファではFEHリリース前に収録されており、FEHもサイファどちらも担当イラストレーターがDaisuke Izukaさんとなっています。
邪竜の現身 ルフレ
(左:FEH、右:サイファ)
FE覚醒で、ファウダーの儀式によりギムレーと同化したルフレ君です。彼はそのままクロム君を殺害し、絶望の未来へと進みます。覚醒本編ではファウダーの儀式が不完全だったため同化せず、そのまま未来から来たギムレーと対峙します。覚醒本編では元の人格に戻ることはありませんでしたが、絶望の未来編では絶命寸前に元の人格に戻り、自分を滅ぼしたルキナ君達に感謝とマーク君に謝罪しつつ果てます。
こちらもFEHでレベル40にすると元の人格が混じって出て来るので、興味がある人は彼を仲間にしてみると良いでしょう。
因みに女性の方のルフレ君(ギムレー)は伝承英雄として実装されています。
サイファではFEHの登場より後に収録されており、FEHもサイファどちらも担当イラストレーターが大熊ゆうごさんとなっています。
水の眷属 タクミ
(上:FEH、下:サイファ)
FEif暗夜編で、ハイドラ神の毒牙にかかり水の眷属と化したタクミ様です。長城戦で暗夜軍に敗北し断崖絶壁から落ちて自決した後、水の眷属かつ暗夜編最後の敵としてカムイ様達の前に立ちはだかります。彼もカムイ様に討たれ、絶命寸前にカムイ様に自分を止めてくれたことに感謝して水泡となって消滅します。
大英雄なので現在では聖杯で召喚することで仲間になります。
星5になると習得できる専用武器「スカディ」は、3ターン目に自身を中心とした縦3列の敵に10ダメージ与えるというもので、原作で数ターンに1回放つ波状攻撃を再現しています。大英雄戦ではこれに加えて敵の眷属タクミ様も2人になるので、大英雄戦も原作再現でした。
サイファではFEHリリース前と後で2種類収録されています。
第3部から登場
第2部では恒常英雄は3人でしたが、この部から4人登場します。この4人の中でもカムイ様とチキ君は現在でも愛用者は多く、闘技場や飛空城でも時折見かけます。
魔剣に囚われし者 マリータ
(左:FEH、右:サイファ)
FEトラ7序盤で、暗黒の剣を持たされて暴走した状態のマリータ君です。帝国に捕らえられたところに暗黒の剣を持たされ、義母であるエーヴェル君に切りかかってしまいます。残念ながら私はトラ7未プレイなので、エーヴェル君との戦いがどうなったか、どうやって暗黒の剣の暴走から解放されたかはわからないです、すみません。
サイファではプロモーションカードとして収録されています。
煉獄の王子 ベルクト
(左:FEH、右:サイファ)
FEエコーズ終盤で、ドーマ神の眷属となったベルクト君です。アルム君が次期リゲル皇帝であることを知って絶望し、自暴自棄になって婚約者のリネア君を生贄にドーマ神から力を貰い、アルム君に立ちはだかります。彼も討たれた直後に正気に戻り、母の形見の指輪をアルム君に渡し、神に弄ばれない世界を望んで果てます。
サイファではFEHでの登場より前に収録されています。興味深いのは、FEHもサイファも武器スキルの「クリムヒルド」が味方を犠牲にすることで敵の攻撃に強くなったり射程を得られる*1という点が共通しています。原作でもリネア君を生贄に得られた武器なので、クリムヒルドは生贄を捧げなければならない武器と言えます。
禍つ魂の慟哭 カムイ
(左:FEH、右:サイファ)
FEif序盤で、理性を失って竜化している状態のカムイ様です。5章で母であるミコト様を水の眷属に殺害されたショックで竜化し、リョウマ様でさえ倒せなかった水の眷属を圧倒します。最終的にはアクア様の歌で理性を取り戻し、竜の力は竜石に封じ込められます。
サイファで一番近いカードは第15弾の2コスの「嘆きの獣 カムイ(女)」として収録されています。
眠れる竜王女 チキ
FE暗黒竜で、ガーネフ殿に操られた状態のチキ君です。ラーマン神殿の守り竜としてマルス様達と対峙しますが、バヌトゥ殿が話しかけることで洗脳が解け、そのままマルス様の仲間になります。
実はサイファではこの状態のチキ君はプロモーション含めて収録されていません。
タタラの傀儡 デューテ
(左:FEH、右:サイファ)
FEエコーズ中盤で、タタラに操られた状態のデューテ君です。アルム軍の敵として立ちはだかりますが、彼女を倒さずにタタラを倒すと洗脳が解け、クリア後にアルム君達の仲間になります。
大英雄なので現在では聖杯で召喚することで仲間になります。
第4部から登場
今から1年前の闇堕ち英雄で、現在でも恒常の4人全員が闘技場や飛空城でも良く見かけます。
奪われた心 ユリア
FE聖戦終盤で、マンフロイに操られたユリア君です。ミレトスでマンフロイに攫われ、本来ならユリウス君の脅威なので始末されそうになりますが、利用価値があると考えたマンフロイによって洗脳され、セリス君達に襲い掛かります。彼女を生かしたままマンフロイを倒し*3、その後でセリス君がユリア君に話しかければ洗脳が解け正気に戻ります。
因みに原作では、離脱時の魔道書がそのまま武器になりますが、FEHでは「暗黒の聖書」という専用武器を携えています。
サイファではプロモーションカードとして収録されています。
蘇りし魔王 リオン
(左:FEH、右:サイファ)
FE聖魔で、魔王フォデスに憑依されたリオン君です。父の復活のため聖石を破壊したことでフォデスの封印が解け、そのままフォデスに憑依されてしまいます。エイリーク編では完全に魔王に体を乗っ取られ、エフラム編ではまだリオン君の自我は残っているという違いはありますが、いずれのルートでもそのままエイリーク君かエフラム君に討たれ、彼らに自らが犯した過ちを謝罪して絶命します。
因みに原作では武器はナグルファルですが、ナグルファルを持つリオン君は既に大英雄として実装されています。大英雄のリオン君は魔王に完全に乗っ取られる前の状態となっています。
サイファではFEH登場前に収録されています。
その血に眠る獣 カムイ
(左:FEH、右:サイファ)
FEif序盤で、理性を失って竜化している状態のカムイ様です。闇堕ちの経緯は2年前に登場した女性のカムイ様と同様なので割愛します。
サイファでもシンボルの違いはありますが、カムイ王女様と同じコスト・効果で収録されています。
暴走の闘気 アイク
(左:FEH、右:サイファ)
何らかの理由で負の気に呑まれて暴走してしまったアイク君です。FE暁ではアイク君がこのような状態になることはなく、原作にはないオリジナル設定での実装だったので、登場当時はかなり物議を醸しました。
サイファで収録された「悪夢の暴勇 アイク」をFEHに逆輸入したというのが一般的な見方ですが、FEHのこの暴勇アイク君は「蒼炎で漆黒の騎士を倒せなかった世界線*4のアイク君」ではないかという説が有力です。
詳しくはこちらの解説が参考になります。
狂王 アシュナード
(左:FEH、右:サイファ)
FE蒼炎で、メダリオンの力でさらに強化されたアシュナード王です。ミスト君から奪ったメダリオンを手に、負の気に呑まれつつも自我を保ってアイク君に立ちはだかります*5。最終的にはアイク君に討たれ、メダリオンも取り戻されます。
大英雄なので現在では聖杯で召喚することで仲間になります。メダリオンに触れる前のアシュナード王は現時点では実装されていません。最もメダリオンに触れた後と性格はほぼ同じですが…。
サイファではこの状態のアシュナード王はFEH登場より少し前の第20弾で収録されています。
第5部から登場
ここからは第5部、つまり最新の闇堕ち英雄です。
狂乱の王子 ディミトリ
(左:FEH、右:サイファ)
FE風花雪月5年後編で、復讐鬼となったディミトリ君です。父の謀殺の首謀者が判明し、さらに紅花ルート以外*6では5年の間に様々な裏切りに遭ったのもあり、完全な復讐鬼となってしまいます。蒼月ルートではディミトリ君に復讐しようとする者によりランベール伯(フェリクス君の父)を失ったことと先生の導きで正気に戻りますが、翠風・銀雪ルートではグロンダーズ平原の戦いで復讐鬼のまま戦死します。
厳密には彼は闇堕ちではなく、精神を病んだ状態と言った方が正しいです。そのため、他の闇堕ち英雄と異なって瞳は赤く染まってません。
因みに装備がアラドヴァルではありませんが、これは原作でも5年後に再会したときに、当初はとある理由でアラドヴァルを所持していなかったためだと思われます。原作にないオリジナルの武器ですが、意匠がデビルソードと同じなので原作未実装の「デビルランス」ではないかと言われています。やられたときに武器が涙目になるので、ちょっと可愛げがあります。
サイファにはこの復讐鬼状態のディミトリ君は何枚か収録されています。右上はその中でも代表的なSRのカードです。
闇色の未来 マーク
FE覚醒の絶望の未来編で、ギムレー側の敵将となったマーク君です。彼は自分からギムレーに忠誠を誓って他の子世代と対立しているので、厳密には闇堕ちとは言えないかもしれません。彼は倒すことも可能ですが、ルフレ君が話しかけることで撤退します。特に母親であるルフレ君との会話は必見です。
サイファでは「???」というユニット名で収録されており、原作でも明らかにマーク君ではありますが「???」と表示されています。
闇色の忠節 マーク
同じくFE覚醒の絶望の未来編で、ギムレー側の敵将となったマーク君です。闇堕ちの経緯や末路は男性のマーク君と同じなので、割愛します。因みに原作では男性のマーク君はゲーティア、女性のマーク君はオートクレールを使用します。
サイファでは男性バージョンと同じく「???」というユニット名で収録されています。
覇道の終着点 エーデルガルト
FE風花雪月蒼月ルートで、ほぼ魔獣化同然の「覇骸皇帝」になったエーデルガルト君です。蒼月ルートでは、彼女と提携していた「闇に蠢く者たち」の首魁が先にディミトリ君に討たれてしまったため、ある意味追い詰められた彼女は最後の手段としてこの姿になりディミトリ君と対峙します。最期はディミトリ君に討たれて果てますが、この時のムービーは必見です。
サイファでもFEHに登場する前にこのカードが収録されています。
狂気の慕情 オルソン
FE聖魔でグラド帝国寝返ったルネスの将オルソン殿です。失った妻のモニカをよみがえらせるためにグラド帝国に寝返り、エイリーク君やエフラム君を嵌めようとします。終盤で支配したルネス城でエイリーク君達に討たれます。
厳密には、彼も精神を病んでいる状態*7なのですが、FEHでは瞳が赤く染まっているため洗脳状態という描写がされています。但し、FE聖魔でもこの精神状態が洗脳によるものなのかどうかは不明です。
大英雄なので、現在開催されている大英雄戦をクリアするか、後のアップデートによる聖杯で召喚することで仲間になります。
サイファではオルソン殿は収録されていません。
今後登場しそうな闇堕ち英雄
ここからは完全な余談です。
FE原作でも闇堕ちしているキャラクターは数が限られるので、毎年闇堕ち英雄を登場させて大丈夫なのかというところです。が、振り返ってみると以下のように案外多いので、暫くはネタ切れになることはなさそうです。
作品ごとに今後FEHに登場しそうな闇堕ち英雄は、私は以下のとおりに予想します。抜け漏れがありましたら、コメント等でお知らせください。
紋章の謎
可能性として高いのは、洗脳されメディウスの生贄にされそうになっている、レナ君、マリア君、エリス君、ニーナ姫の4人です。そのうちニーナ姫以外は実装されています*8。
ただ4人とも魔道士系なので、別々のタイミングで登場し、かつ魔道書の色もバラバラになって登場しそうです。
トラキア776
十二魔将も可能性として挙げられます。十二魔将も元は味方キャラクターらしいのですが、残念ながら私はトラ7未プレイなのでこれ以上は分かりません。
烈火の剣
烈火終章でモルフ化しているロイド君やライナス君なども可能性として挙げられます。但し、彼らは「生前の人間のエーギルから作られた存在」なので厳密には闇堕ちではないのと、終始喋らないので「想いを集めて」で困ると思います。
加えて、そのモルフ達が持っていた武器は実装済みの烈火の大英雄や恒常英雄が持っているので、この点でもモルフ達の実装は難しいかもしれません。
聖魔の光石
あり得るのはムルヴァ殿(ミルラ君の養父)かなと思います。但し、彼も一旦殺害された後にドラゴンゾンビとして蘇っているので、厳密には闇堕ちではありません。
蒼炎の軌跡、暁の女神
可能性として高いのはグレイル殿とベウフォレス(レニング)殿だと思います。グレイル殿は超英雄として実装済みです。
前者はメダリオンに触れたことによる暴走、後者はなりそこないの薬を飲まされたことによる暴走です。
覚醒
暴勇アイク君と同じサイファからの逆輸入ですが、屍王クロム君もあり得そうです。これも登場したら物議を醸しそうですが…。
但し、FE覚醒の作中ではウード君が「親が屍兵になって襲ってくることがあり得る」と言っているのと、絶望の未来編でもクロム君の遺体がどう扱われているかが不明なので、屍王として使役される可能性はなくはないです。
if
この作品については闇堕ち英雄の宝庫と言っても過言ではありません。具体的には透魔編のギュンター殿や見えざる史実編でのリリス君、水の眷属化してしまったクリムゾン君、シェンメイ様、ミコト様、スメラギ王が該当します。ギュンター殿とリリス君、ミコト様は実装済みですが、ギュンター殿は担当声優が亡くなっているため難しいかもしれません。
他にも、カンナ君が外伝でカムイ様が水の眷属に襲われたときに同じように理性を失って竜化しているので、カンナ君も可能性としてあり得ます。
風花雪月
今回は結果的に見送りになりましたが、銀雪ルート終章で白きものになって暴走するレア様も可能性として高いです。
他にも覇骸皇帝が実装されたので、同じように魔獣化したマイクラン君(シルヴァン君の兄)や紅花ルートのドゥドゥー君もあり得るかもしれません。
*1:サイファでは味方を一人を撃破しなければならない。FEHでは周囲2マス以内に味方がいるのが条件だが、戦闘終了後に最も近い味方に20ダメージを与える。
*2:N(ノーマル)とカード名は同じだがスキルの効果が少し違うレアカードのこと。
*3:マンフロイを倒さずに直接ユリウス君を倒すことでも、マンフロイが連鎖的に消滅しユリア君の洗脳が解ける。
*4:暁では蒼炎でアイク君が漆黒の騎士を倒した前提となっている。
*5:難易度がハード以上のみ。
*6:紅花ルートでは教会が味方に付いたため他のルートのような裏切りには遭っていない。
*7:変わり果てた姿のモニカを生前のままの姿と思い込んでいる等。
*8:エリス君は厳密には比翼の後衛のみ。